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GHファンフィクションサイト「白日夢ーまひるにみるゆめ」のblog。 更新記録、突発sssなど
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一応ナル麻衣ですが、ネタバレしていますので宜しければ続きからどうぞ。

……もの凄く久しぶりなのにこんなくだらないのでごめんなさい…。
あ、本日(2/14)限りになります。



朝食の席に着いた時、ティーソーサーには見慣れない、白いカードが目に止まった。

  Our dear Twins,  We love you.

「…ルエラ?マーティン?」
今日は僕らの誕生日でもないし、特に何もない日の筈だが。

ルエラはトーストを皿に乗せくれてから、向かいに座るマーティンの傍らに寄りそい、マーティンが口を開きかけた。

「おはよー、遅刻遅刻だよ〜っ!ナル、なんで起こしてくれなかったのさ!」
「今日は朝、フットボールの練習をするから早く起きる、と言ってなかったか。僕は降りる前に声かけたんだが」
「あ、あれ?」
ジーンは片手でシャツのボタンを止めながらもう片手でトーストに手を伸ばそうとしてから、
「あれ?」
と、彼のところにも置かれたカードに気付いた。
「わぁ!有難うルエラ、マーティン!」
と、大喜びで二人に駆け寄り、頬にキスをする。
——なんだ?
チャットで思わず問いかけると、
——聖ヴァレンティヌスの日だよ、ナル。
と、間髪入れずに返答されたが、わからない。
「今日はバレンタインだよ」
マーティンがそう告げ、
「そう。イギリスでは大事な人たちにカードを贈るの」
「君たちは僕たちの最愛の息子たちだからね。親愛と、感謝の気持ちだよ」
「感謝…」
それなら僕たちが贈らなければいけないだろう。
「有難う」
ジーンが珍しく神妙な面もちで告げた。
「ごめんなさい。僕らは何も用意してないんだ」
「良いのよ。これは私たちが好きでやってるんだから」
「…有難う」
僕もそう告げた。二人は嬉しそうに笑う。

その後ジーンは再び大慌てで出ていったが、放課後二人で寄った研究室でまどかに巻き込まれ、お菓子作りにつき合わされた。
なんでも、まどかが言うには日本ではチョコを贈るのだという。
…もっとも、この時は女性から男性に贈るのだとは教えられなかった。日本に来て初めて、そんな風習を知らされたのだが。

僕とジーンが作ったチョコは、ルエラもマーティンも大いに喜んでくれた。そして翌年以降、僕たちはこの日にカードを贈り合うようになった。


そして、今、日本で。
僕は今、婚約者と共に暮らしている。今朝彼女はまだ眠っているようだった。
昨晩は、「レポートの締め切りが近い」と言って彼女にしては珍しく遅くまで起きていたから、疲れているのかもしれない。

毎年、この日。
僕は甘いのが苦手だから無理強いはしないが、それでも彼女から何らかの贈り物が贈られた。日本では、わざわざ翌月にお返しするらしいが、僕は大概その日に彼女と食事に行ったりしていた。
なら、今年は。

僕はテーブルの片隅にカードを置いた。
今日は仕事の打合せがあるから早く出なければいけないし、何となく自分の目の前でカードを読まれるのは抵抗があるから、何も告げず、出ていこうとした。

が。

勢い立てて、寝室のドアが開いた。
「おおおはよっ、ナル!」
一声かけて洗面所に入り、すぐ支度をしてから、
「ごめんっ!今朝一時限目にテストなの!先に行くねっっ!」
と、慌てて出て行ってしまった。

テーブルの上のカードには見向きもしない。かつての記憶に残る、片割れの姿とだぶった。



「…うそ」
事務所にて、麻衣は呆然と呟いた。
「すーっかり忘れてたのね」
「呆れますわ」
「いや、だって…そういえば」
彼女は今の今まで今日の日付を忘れていた。

そう。
2月14日、所謂「聖バレンタインの日」。
先週の日曜日、綾子と真砂子で手作りチョコを作ったのだが、それ以来ばたばたと忙しくなり、すっかり忘れてしまっていた。
「私は当然用意したわよ」
「わたくしもですわ」
「……せっかく造ったのに。忘れてきたよ…」
本命である、婚約者殿はチョコレートなどを口にしない。
日頃お世話になっているからと、同僚や仲間達の分を作ったのだが。
「……取ってくる」
そう言って麻衣は立ち上がる。せっかくだから、当日に渡したい。外出の許可を得ようと所長室へ向かった。
「ナル、忘れ物してきたから家まで取りに帰るね」
「家に?」
怪訝に問い掛けてきたが、敢えてそれを無視し、
「直ぐ戻るから、じゃぁ…」
と、出ようとしたが、
「送る」
と言われ、渋々麻衣は断ることも出来ず、二人で家に帰った。
「僕はこのまま家で論文を纏めるから」
そう言って、ナルは書斎に籠もる。その様子に、麻衣は少し安堵した。
冷蔵庫の奥に閉まっていたチョコレートを取り出し、ラッピングをかける。ぼーさんやジョン、安原とさんとリンさんの分は全て一緒だが。
一応作った、彼の分はどうしようかと考えていると、テーブルの上に、一枚のカードがあるのが目に入った。



「これって……」
送り主の名のない、英語で書かれたカード。
以前、バレンタインは英国では恋人や親しい人同士がカードや贈り物をするのだと聞いたが。

——You are my Valentine.

「嬉しい…」
麻衣はそのカードを胸に抱いて呟いた。


「麻衣?」
ナルが書斎から出ると、立ち尽くしたまま涙を流す麻衣の姿があった。
「…どうした」
「なんでもない。ていうか、嬉しいの…」
付き合っているし、婚約もしているが、はっきりと言葉では貰っていなかった。それが、『バレンタインの決まり文句』のカードとはいえ、嬉しかったのだ。
「ありがとう…」
カードを胸に抱きしめ、俯く麻衣を背後からそっと抱きしめる。
「でも、ごめん」
麻衣は漸くナルを振り返り、
「今日が14日だってこと、すっかり忘れてたから…ナルの分、用意できなかったんだ。みんなにはチョコ作ったけど、ナルはいらないでしょう?」
「…くれるなら別に拒む理由はないが」
「そう?珍しいね。甘くない奴も作ったんだけど…」
そう言いながら、まだラッピングしていない分のチョコを差し出した。甘さ控えめにはしてあるが、これでも食べないだろうと思ったのだが。
ナルはそれを口にする。驚いていると、ナルの指が、優しく麻衣の髪を梳いた。
「僕にはこれで、十分だしな」
「は…?」
「Eating a chocolate, can have the effect of being an ultimate "aphrodisiac"*......知らないか?」
「い、いいいきなり英語っ!?ってちょーっと待っ」
言葉は抱擁と口付けで封じられる。

……みんなのために用意した、チョコレート。せめて一日遅れでもあげることが出来ないだろうかと考えたが、翻弄され、押し流そうとするその波に麻衣は全てを委ねた…。





*)チョコレートを食べることは、究極の"媚薬"だそうです。

構想5分で書き上げたのが37分です。
久々なのにやっつけ仕事でごめんなさい〜〜〜〜〜っ。
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