GHファンフィクションサイト「白日夢ーまひるにみるゆめ」のblog。
更新記録、突発sssなど
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……いつぶりか忘れましたが久しぶりのSSS。
(数えるのが怖い;)
携帯から頑張って書きましたにょ。
長いので続きからどうぞ〜。
相変わらず意味無し落ち無しですが。
(数えるのが怖い;)
携帯から頑張って書きましたにょ。
長いので続きからどうぞ〜。
相変わらず意味無し落ち無しですが。
夜空に大輪の華が咲く。
それから一瞬遅れて、大気の震動と共に炸裂音が響いた。
……最初のうち、傍らで彼女は子犬のようにはしゃぎ、子供のように歓声をあげ、その度にいちいち僕の服の裾を引っ張り煩わしかったのだが。
今は——ただ黙って咲き誇る華を見上げている。
『日本にいるんだから夏の風物詩を楽しもうよ!』
等と訳のわからない理屈で彼女は僕を連れ出した。
何故かいつものメンバーはおらず、しかも場所は以前調査に入ったビルの屋上で、僕らの他には誰もいない。
ビルのオーナーからの好意だそうだ。
『贅沢だよねぇ』
彼女は嬉しげに言いながらもどこか恐縮した様子で呟いた。
僕はと言えば、たまたま仕事に区切りがついたから、彼女の誘いを断って後々周りから騒がれるよりは、適当に付き合ってさっさと彼女を連れて帰るつもりだったが。
ドン。
ドーーン…
気がつけば僕もまた、残響と共に最後の華が、闇に溶けていくのを見つめていた。
意識がとんだのはほんの一瞬だったろうが、ふと傍らに立つ彼女を見て、驚いた。
「麻衣」
呼びかければまだ茫然とした様子で振り返る。
その下睫に指を沿わせた。
「え…?」
双眸が艶めいて、輝いていたのは、やはり濡れていたからだった。
「あ、あれ…?」
「泣いてたのか」
「そう、みたいだね」
恥ずかしさから俯いて、素早く目元にハンカチをあてる。
「なんでかな?おかしいね」
「帰るぞ」
「うん。…有難う、付き合ってくれて」
「別に」
その手を取り、歩き出した。
今このビルには僕らの他には警備員しかいないが、エレベーターは動かしてくれていた。
駐車場に着いて警備員に礼を言い、車を発進させても暫し無言だった。
マンションに着いて部屋に入り、いつものように彼女はお茶をいれにキッチンに向かった。
リビングに紅茶の香りが広がる。
いつもの彼女のお茶だが、どこか苦みを感じるのは気のせいだろうか。やがて彼女が口を開いた。
「あのね」
軽くと息と共に告げる。
「別に…何か哀しかったとか辛かったとか、そういうことじゃなくてね」
「花火の音でびっくりしてたとか?」
「あたしはこどもかっ。…というよりもね」
再び紅茶に口を付ける。
「…ああ、なんか凄いなって。感動で胸がいっぱい?てやつ?」
「ふうん」
「職人さん凄いなーとか、ずっと昔から…技術が受け継がれていて、今に続いてるんだなとか…うまく表現できないけど」
「……」
「こんなにも、感動させられるモノができるなんて、凄いって…そう感じたからかな」
「へえ」
——夜空に浮かんだ、大輪の花。
それはまるで、幻影のように一瞬しか現れないけれど。
その一瞬を二人で共有できたことに、僕は密かな満足を覚えていた。
fin
それから一瞬遅れて、大気の震動と共に炸裂音が響いた。
……最初のうち、傍らで彼女は子犬のようにはしゃぎ、子供のように歓声をあげ、その度にいちいち僕の服の裾を引っ張り煩わしかったのだが。
今は——ただ黙って咲き誇る華を見上げている。
『日本にいるんだから夏の風物詩を楽しもうよ!』
等と訳のわからない理屈で彼女は僕を連れ出した。
何故かいつものメンバーはおらず、しかも場所は以前調査に入ったビルの屋上で、僕らの他には誰もいない。
ビルのオーナーからの好意だそうだ。
『贅沢だよねぇ』
彼女は嬉しげに言いながらもどこか恐縮した様子で呟いた。
僕はと言えば、たまたま仕事に区切りがついたから、彼女の誘いを断って後々周りから騒がれるよりは、適当に付き合ってさっさと彼女を連れて帰るつもりだったが。
ドン。
ドーーン…
気がつけば僕もまた、残響と共に最後の華が、闇に溶けていくのを見つめていた。
意識がとんだのはほんの一瞬だったろうが、ふと傍らに立つ彼女を見て、驚いた。
「麻衣」
呼びかければまだ茫然とした様子で振り返る。
その下睫に指を沿わせた。
「え…?」
双眸が艶めいて、輝いていたのは、やはり濡れていたからだった。
「あ、あれ…?」
「泣いてたのか」
「そう、みたいだね」
恥ずかしさから俯いて、素早く目元にハンカチをあてる。
「なんでかな?おかしいね」
「帰るぞ」
「うん。…有難う、付き合ってくれて」
「別に」
その手を取り、歩き出した。
今このビルには僕らの他には警備員しかいないが、エレベーターは動かしてくれていた。
駐車場に着いて警備員に礼を言い、車を発進させても暫し無言だった。
マンションに着いて部屋に入り、いつものように彼女はお茶をいれにキッチンに向かった。
リビングに紅茶の香りが広がる。
いつもの彼女のお茶だが、どこか苦みを感じるのは気のせいだろうか。やがて彼女が口を開いた。
「あのね」
軽くと息と共に告げる。
「別に…何か哀しかったとか辛かったとか、そういうことじゃなくてね」
「花火の音でびっくりしてたとか?」
「あたしはこどもかっ。…というよりもね」
再び紅茶に口を付ける。
「…ああ、なんか凄いなって。感動で胸がいっぱい?てやつ?」
「ふうん」
「職人さん凄いなーとか、ずっと昔から…技術が受け継がれていて、今に続いてるんだなとか…うまく表現できないけど」
「……」
「こんなにも、感動させられるモノができるなんて、凄いって…そう感じたからかな」
「へえ」
——夜空に浮かんだ、大輪の花。
それはまるで、幻影のように一瞬しか現れないけれど。
その一瞬を二人で共有できたことに、僕は密かな満足を覚えていた。
fin
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共感
2日に江戸川の花火を見に行ってきました。浴衣を着て、昼間から河川敷の場所取りをして、すごくまじかでみました。
花火をLIVEで見ること自体高校生ぶりなので、1×年ぶりでしたが、あまりの綺麗さにいつしか一緒に行った友人たちも無言で見上げていて、気がついたら、涙がこぼれてきました。
るーくさんのタイミングの良いSSSに、また感激でした。
暑いけど、日本の夏もいいものですね。
HIROKO
花火をLIVEで見ること自体高校生ぶりなので、1×年ぶりでしたが、あまりの綺麗さにいつしか一緒に行った友人たちも無言で見上げていて、気がついたら、涙がこぼれてきました。
るーくさんのタイミングの良いSSSに、また感激でした。
暑いけど、日本の夏もいいものですね。
HIROKO
Re:共感
HIROKO様
コメント&共感有難うございます!
私の場合は電車の中から見えたので、その印象を元に書いてみたのですがちょっーと意味わかんないかも、と心配だったので共感頂けて嬉しかったです!
有難うございました
コメント&共感有難うございます!
私の場合は電車の中から見えたので、その印象を元に書いてみたのですがちょっーと意味わかんないかも、と心配だったので共感頂けて嬉しかったです!
有難うございました