GHファンフィクションサイト「白日夢ーまひるにみるゆめ」のblog。
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27日から公開する、今年度の読書週間応援SSSの前にお読み下さい(ゑ)
珍しく甘いです…砂糖吐きバカップル(をい)
それでも良い、という方のみどうぞ。
珍しく甘いです…砂糖吐きバカップル(をい)
それでも良い、という方のみどうぞ。
──秋の穏やかな陽射しが差し込むリビングは、静寂によって満たされている…。時折、はらりと書類をめくる他は、ほとんど物音がしない。
青年はソファで読書に勤しみ、その同居人で恋人と呼べる女性は、床で腹ばいになり、新聞を読んでいる。
英語の勉強用に、と、日本語と英語で書かれた新聞だった。辞書を引きながらも、珍しく集中しているようだった。
そろそろお茶を淹れてくれるだろうか、と視線を向けると。
彼女と目があった。
……?
新聞に向かって頷きながら、ちらちらとこちらの様子を窺うように、視線を寄越してくる。
「……ふーん…」
何か納得したように頷きながら。
「……」
「……ふぅむ」
「……?」
だからなんださっきから、というこちらの苛立ちが伝わったのか、彼女は立ち上がった。
「麻衣──」
「お茶、いれるねっ」
何故か機嫌が良さそうだ。鼻歌を歌いながらいそいそと台所へ向かう。いつもなら、新聞を読むのなどとうに飽きて、五月蠅く騒ぎ出すのだが。
暫くして、温かなお茶を入れて戻ってきても、やはり機嫌は良いようだった。
僕にお茶をソーサーごと渡し、彼女は愛用のマグカップを持って、僕の膝元の床にぺたりと座り込む。
恋人、というよりもまるで人懐っこい犬猫がそうするみたいだ、と思う。
「ね」
見上げる目元には、柔らかな笑みが刻まれている。
「なんだ」
「11月9日、までは許してあげる」
「…は?」
なんのことだ。
「だから。それまではかまってくれなくてもいいよ。どうぞ読書に勤しんで下さいませね」
──ますますもって珍しい。
「珍しいね。へんなかおー」
そう言って、楽しそうに立ち上がる。
「だから、なんなんだ一体」
「いいのー。麻衣ちゃんは寛大だから、許してあげちゃうのだ」
訳の分からない事を言って、再び台所へ向かう後ろ姿に、溜息を吐いた。
そして、床にそのまま置き去りにされた新聞に目を落とした。
それは、たった一行。
本を読んでる 君が好き
──10月27日から11月9日までは読書週間です──
(2006年度のスローガン)
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