GHファンフィクションサイト「白日夢ーまひるにみるゆめ」のblog。
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初めて参加させていただいたご本「NATSU-BON」より再録です。
宜しければ続きから(長いです)
宜しければ続きから(長いです)
そんなの、解りきった事だった。
世界がどんなに醜いか。
どんなに、冷たいのか???????。
大切な物は全て奪われ。
求めていた物は手に届く筈も無く。
それなのに。
どうして、僕はまだ、こんな所に?
八月十四日。
その想い、遥かに。
気がつけば、そこは………
ああ、今年も来てくれたね。
淡い、優しい光を放つ、彼女。
捧げ持った花束を、その水面に投げ込む。
知っている。
この花を捧げたのは、僕ではない。
僕ではない、けれど。
「…やあ」
また、今年も逢えたね。
僕から少し離れ、彼女の背後に佇むのは、まだ幼さの残る少年だった。
「…こんにちは」
彼女によく似た、綺麗な笑みで彼は答える。
「まだここに居るの?」
「お互いにね」
「…そうだね」
毎年、ここに現れる「彼」。
ここにやってくる、「彼女」。
いつからなのか、もう分からないけれど。
彼らの姿をこうして眺めるのが、年に一度の習慣となっていた。
ただ、花を捧げるだけの彼女。
柔らかな光を放ちながらも、その中にあって、彼女自身は深い悲しみに沈んで。
そして、ただそれを見守る彼も。
彼女の光を浴びながら、決して傍に行こうとしない。
彼女は、彼に気付いていない。
それでも。
彼が、羨ましかった。
そんなに、深い想いを向けられている彼が。
風が、そよぐ。
柔らかそうな彼女の髪を浚って行く。それなのに、彼女自身は沈黙の湖に沈んだまま、微動だにしない。
ただ、それを見守る彼。
幼い、少年のような姿だけど、その双眸に浮かぶのは、深い、真摯な色だ。少年のように見えるが、もしかしたら、長い年月を此処で経ていたのだろうか?
ああ、そうか。
ずっとずっと、彼は、こうして彼女を見守っていたのだろう。
僕が、ここに沈んだ、ずっと前から…。
僕自身も、いつから『ここ』にいるのか、もう覚えていない。
ただ。
…どうしてか。僕は、僕自身をここに沈めたのだ。
そうする動機があった筈だけど。
もう、覚えていない。
でも、後悔はしていない。
こうして、年に一度だけど、彼らの姿を見るたびに??忘れていたはずの何かを、思い出せるような気がした。
感じるのは、羨望。
それとも、恋情?
彼女とは、話をした事も無いけれど。
一緒に、来てくれる?
頼んでみれば、頷いてくれるかもしれない。
だけど。
しない。
できない。
それを、望んだはずの、望んでも、良い筈の彼が、こうしてただ、黙って彼女を見つめているから。
毎年、訪れるこの葛藤。
でも。
いつか、僕は。そして、『彼』は。
じゃり。
不意に、下草を踏む音が響いた。
その気配に気付いたのだろう、彼が振り返って。
その表情に、安堵が浮かんだ。
それにつられて、僕もそこに視線を向ける。
驚いた。
数年分、成長した『彼』が、其処に居たからだ。
黒衣に包まれた肢体は、それだけで絵になるような、見事な均整がとれていたが、何より『彼』に似ていながら、冷たいような、それでいて優美な相貌。
ただ、漆黒の双眸に浮かべた色だけが???。
燃えていた。
まっすぐに、彼女へ向けたそれ。
ああ、そうなんだ。
だけど。
彼女だけが気付いていなかった。
いや。
それとも、気付いていながら、ふりをしているのか。
「麻衣」
冷たいのに、その奥に熱を孕んだ声が、彼女を呼ぶ。
それでも、振り返らなかった。
一度、足を止めた彼は再び彼女へ向かう。
そして。
背後から、抱きしめた。
彼女を、自分へと繋ぎ止めるように。
まるで、彼女が其処へ行ってしまう事を恐れるように。
言葉も無く、彼女は振り返り、笑顔を向けた。
柔らかに、光を放つような。
漆黒の彼の腕に包まれていながら、其処だけが仄かに明るい。
微笑む彼女を、彼は其処に閉じ込めるように、強く抱く。
「…今、此処で誓え」
強い口調で、彼女の耳元にだけ落とされた声は、何故か僕たちに届いた。
一瞬振り仰いで、彼を見上げた彼女はただ、頷く。
対照的な、二人だけど。
彼女に向ける想いは・・・・・・。
腕に閉じ込めた彼女に、彼は静かに口づけを落とす。
彼女の心を、止める事が出来るようにと。
言葉は無いのに、その想いだけは伝わってくる。
いつか、見た。
喪った、筈の風景。
柔らかな微笑みを浮かべる、『彼女』がいた、あの頃の。
ずっとずっと、
好きだった。
だけど。その人は喪われた。
彼女の心が、僕に向いていないとは知っていたけど。
それでも。
だからこそ。
幸せになって欲しかった。
幸せになれる、なってくれると信じていたのに。
ごめん。
ごめん。
謝る言葉も、届けるべき相手も此処にはない。
それでも。
思い出した。
大事な、友人の『恋人』だった。彼女。
僕を信じていたから、僕にも笑ってくれていたのに。
譬え、想いは叶わなくても僕は君を守りたかったのに。
事故、だったと。
深夜、酔っぱらい運転の車が僕たちの乗った、僕の運転する車に突っ込んで来た。
仕方の無かった事だ、と誰かが言ってくれたけど。
何故。
死んだのが彼女と彼で。
どうして、僕だけが置いて行かれたのか。
僕は、警察の事情聴取の帰りに。
立ち寄った此処に、
自らを投げ込んだのだ。
…そんな事では、自分を赦せる筈など無いのに。
自分の罪を、消せる訳が無いのに。
ごめんなさい。
だのに。
僕は、此処からどうして動けないのだろう…。
ふわり。
暖かな空気が、流れた。
彼が、一瞬こちらへ視線を向けてから、二人へ笑顔を向けていた。
「………ジーン…?」
彼女が、問いかける。
青年は、ますます強く彼女を抱きしめる。
何かに、怯えるように。
「ジーン…?どこ…」
麻衣。
彼が、答える。
「どこ?どこにいるの?」
目の前に居るのに、姿は見えていないのか彼女が必至になって呼びかける。
此処で、誓って。ナルと。
「…ジーン…」
声だけが届いているのか、彼女は彼の腕の中で身を強張らせた。
「麻衣」
彼にはこの声が届いていないのか。
彼女の名前を呼び、壊してしまうのではないかと、危惧するほど強く、強く抱く。
「…ナル」
彼女の顔に、笑みが浮かぶ。
「うん。…誓う」
「麻衣」
彼はただ、名前を呼んで。
「約束する、から。ここで。ジーンにも、ナルにも」
花咲くような、笑み。
「……幸せに、なるからね」
その言葉と、笑みを向けられた青年は、不敵に笑った。
「それと、もう一つだな」
「え?」
「…生涯、ただ僕だけのものになると」
彼女の目が、まんまるに見開かれる。
だれど、それから??。
「うん」
輝く笑顔。それに、青年も鮮やかな笑みで答えた。
「ジーン…」
再び彼女は、呼びかける。
「ありがとう」
その時だった。
雲の切れ間から差し込むような、光が僕を照らした。
おいで。
一緒に、行こうよ。
懐かしい声が呼ぶ。
もう。どこで道草食ってたの?
鮮やかに笑う、二人が呼ぶ。
赦して、くれるのか…?
光に向かって、手を伸ばす。
何言ってるのさ。
遅刻、は後でちゃんと落とし前付けてもらうからね?
だから、行こう。
そう言って二人に手を取られ、光の中へ。
その中へ進む直前、振り返れば彼女が僕に向けて笑みを浮かべていた。
ありがとう…。
その声が、彼女に届いたのだろうか。彼の腕の中で、彼女は再び微笑んだ。
「…逝ったかな、あの人」
「…麻衣?」
腕の中の麻衣が、力を抜いた。
今迄、緊張していたのだろうか。そして、その言葉。
見下ろすと、瞳を逸らした。
だが、顎を上向かせて、双眸を見返す。すると、観念したのか、
「あのね。ジーンの気配とは別に…毎年、此処へくる度に、感じたの。すごい…、寂しい人が居たの。その人の大切な人たちも、傍に居るのに。彼だけは気付かなかったの」
「…麻衣」
毎回の事とは言え……。
僕の、剣呑な視線に気付いたのか、腕の中でじたばたと暴れながら、
「あ、あのね!いや、あの…危険は、無かった…と、思うし、ナルに言って…その、データ取られるのも、気の毒…かな、って」
「麻衣」
吐息とともに、その唇を塞ぐ。
何度抱いても、口づけをかわしても。
こうして。
この腕に閉じ込めた時ですら。
いつか。
喪失われるのではないかと。
まるで。幼い迷子のようだった。
プライドが高く、言葉に表す事ができない、『彼』が、時々見せる???不安。
それに気付かない、ふりをする。
ただ。
私は、いつでもあなたの傍に。
いつまでも、あなたの傍に。
それが永遠ではないと知っていても。
息が出来ないほど抱きしめられて、苦しい。
だけど、それで、彼の痛みを和らげる事が出来るなら。
そう、でしょう?ジーン。
此処には居ない、彼に向かって訊いてみる。
ただ静かな水面が、夕陽に照らされて朱く染まっていた…。
消える事は無い、痛み。
癒される筈の無い、喪失。
ただ。
この想いだけは、永遠に。
彼と、あなたと、自らへの。
この日の、誓いだけは。
奪われる事は、決して、ないから。
<終>
二〇〇四年八月十四日
Written by Rook
世界がどんなに醜いか。
どんなに、冷たいのか???????。
大切な物は全て奪われ。
求めていた物は手に届く筈も無く。
それなのに。
どうして、僕はまだ、こんな所に?
八月十四日。
その想い、遥かに。
気がつけば、そこは………
ああ、今年も来てくれたね。
淡い、優しい光を放つ、彼女。
捧げ持った花束を、その水面に投げ込む。
知っている。
この花を捧げたのは、僕ではない。
僕ではない、けれど。
「…やあ」
また、今年も逢えたね。
僕から少し離れ、彼女の背後に佇むのは、まだ幼さの残る少年だった。
「…こんにちは」
彼女によく似た、綺麗な笑みで彼は答える。
「まだここに居るの?」
「お互いにね」
「…そうだね」
毎年、ここに現れる「彼」。
ここにやってくる、「彼女」。
いつからなのか、もう分からないけれど。
彼らの姿をこうして眺めるのが、年に一度の習慣となっていた。
ただ、花を捧げるだけの彼女。
柔らかな光を放ちながらも、その中にあって、彼女自身は深い悲しみに沈んで。
そして、ただそれを見守る彼も。
彼女の光を浴びながら、決して傍に行こうとしない。
彼女は、彼に気付いていない。
それでも。
彼が、羨ましかった。
そんなに、深い想いを向けられている彼が。
風が、そよぐ。
柔らかそうな彼女の髪を浚って行く。それなのに、彼女自身は沈黙の湖に沈んだまま、微動だにしない。
ただ、それを見守る彼。
幼い、少年のような姿だけど、その双眸に浮かぶのは、深い、真摯な色だ。少年のように見えるが、もしかしたら、長い年月を此処で経ていたのだろうか?
ああ、そうか。
ずっとずっと、彼は、こうして彼女を見守っていたのだろう。
僕が、ここに沈んだ、ずっと前から…。
僕自身も、いつから『ここ』にいるのか、もう覚えていない。
ただ。
…どうしてか。僕は、僕自身をここに沈めたのだ。
そうする動機があった筈だけど。
もう、覚えていない。
でも、後悔はしていない。
こうして、年に一度だけど、彼らの姿を見るたびに??忘れていたはずの何かを、思い出せるような気がした。
感じるのは、羨望。
それとも、恋情?
彼女とは、話をした事も無いけれど。
一緒に、来てくれる?
頼んでみれば、頷いてくれるかもしれない。
だけど。
しない。
できない。
それを、望んだはずの、望んでも、良い筈の彼が、こうしてただ、黙って彼女を見つめているから。
毎年、訪れるこの葛藤。
でも。
いつか、僕は。そして、『彼』は。
じゃり。
不意に、下草を踏む音が響いた。
その気配に気付いたのだろう、彼が振り返って。
その表情に、安堵が浮かんだ。
それにつられて、僕もそこに視線を向ける。
驚いた。
数年分、成長した『彼』が、其処に居たからだ。
黒衣に包まれた肢体は、それだけで絵になるような、見事な均整がとれていたが、何より『彼』に似ていながら、冷たいような、それでいて優美な相貌。
ただ、漆黒の双眸に浮かべた色だけが???。
燃えていた。
まっすぐに、彼女へ向けたそれ。
ああ、そうなんだ。
だけど。
彼女だけが気付いていなかった。
いや。
それとも、気付いていながら、ふりをしているのか。
「麻衣」
冷たいのに、その奥に熱を孕んだ声が、彼女を呼ぶ。
それでも、振り返らなかった。
一度、足を止めた彼は再び彼女へ向かう。
そして。
背後から、抱きしめた。
彼女を、自分へと繋ぎ止めるように。
まるで、彼女が其処へ行ってしまう事を恐れるように。
言葉も無く、彼女は振り返り、笑顔を向けた。
柔らかに、光を放つような。
漆黒の彼の腕に包まれていながら、其処だけが仄かに明るい。
微笑む彼女を、彼は其処に閉じ込めるように、強く抱く。
「…今、此処で誓え」
強い口調で、彼女の耳元にだけ落とされた声は、何故か僕たちに届いた。
一瞬振り仰いで、彼を見上げた彼女はただ、頷く。
対照的な、二人だけど。
彼女に向ける想いは・・・・・・。
腕に閉じ込めた彼女に、彼は静かに口づけを落とす。
彼女の心を、止める事が出来るようにと。
言葉は無いのに、その想いだけは伝わってくる。
いつか、見た。
喪った、筈の風景。
柔らかな微笑みを浮かべる、『彼女』がいた、あの頃の。
ずっとずっと、
好きだった。
だけど。その人は喪われた。
彼女の心が、僕に向いていないとは知っていたけど。
それでも。
だからこそ。
幸せになって欲しかった。
幸せになれる、なってくれると信じていたのに。
ごめん。
ごめん。
謝る言葉も、届けるべき相手も此処にはない。
それでも。
思い出した。
大事な、友人の『恋人』だった。彼女。
僕を信じていたから、僕にも笑ってくれていたのに。
譬え、想いは叶わなくても僕は君を守りたかったのに。
事故、だったと。
深夜、酔っぱらい運転の車が僕たちの乗った、僕の運転する車に突っ込んで来た。
仕方の無かった事だ、と誰かが言ってくれたけど。
何故。
死んだのが彼女と彼で。
どうして、僕だけが置いて行かれたのか。
僕は、警察の事情聴取の帰りに。
立ち寄った此処に、
自らを投げ込んだのだ。
…そんな事では、自分を赦せる筈など無いのに。
自分の罪を、消せる訳が無いのに。
ごめんなさい。
だのに。
僕は、此処からどうして動けないのだろう…。
ふわり。
暖かな空気が、流れた。
彼が、一瞬こちらへ視線を向けてから、二人へ笑顔を向けていた。
「………ジーン…?」
彼女が、問いかける。
青年は、ますます強く彼女を抱きしめる。
何かに、怯えるように。
「ジーン…?どこ…」
麻衣。
彼が、答える。
「どこ?どこにいるの?」
目の前に居るのに、姿は見えていないのか彼女が必至になって呼びかける。
此処で、誓って。ナルと。
「…ジーン…」
声だけが届いているのか、彼女は彼の腕の中で身を強張らせた。
「麻衣」
彼にはこの声が届いていないのか。
彼女の名前を呼び、壊してしまうのではないかと、危惧するほど強く、強く抱く。
「…ナル」
彼女の顔に、笑みが浮かぶ。
「うん。…誓う」
「麻衣」
彼はただ、名前を呼んで。
「約束する、から。ここで。ジーンにも、ナルにも」
花咲くような、笑み。
「……幸せに、なるからね」
その言葉と、笑みを向けられた青年は、不敵に笑った。
「それと、もう一つだな」
「え?」
「…生涯、ただ僕だけのものになると」
彼女の目が、まんまるに見開かれる。
だれど、それから??。
「うん」
輝く笑顔。それに、青年も鮮やかな笑みで答えた。
「ジーン…」
再び彼女は、呼びかける。
「ありがとう」
その時だった。
雲の切れ間から差し込むような、光が僕を照らした。
おいで。
一緒に、行こうよ。
懐かしい声が呼ぶ。
もう。どこで道草食ってたの?
鮮やかに笑う、二人が呼ぶ。
赦して、くれるのか…?
光に向かって、手を伸ばす。
何言ってるのさ。
遅刻、は後でちゃんと落とし前付けてもらうからね?
だから、行こう。
そう言って二人に手を取られ、光の中へ。
その中へ進む直前、振り返れば彼女が僕に向けて笑みを浮かべていた。
ありがとう…。
その声が、彼女に届いたのだろうか。彼の腕の中で、彼女は再び微笑んだ。
「…逝ったかな、あの人」
「…麻衣?」
腕の中の麻衣が、力を抜いた。
今迄、緊張していたのだろうか。そして、その言葉。
見下ろすと、瞳を逸らした。
だが、顎を上向かせて、双眸を見返す。すると、観念したのか、
「あのね。ジーンの気配とは別に…毎年、此処へくる度に、感じたの。すごい…、寂しい人が居たの。その人の大切な人たちも、傍に居るのに。彼だけは気付かなかったの」
「…麻衣」
毎回の事とは言え……。
僕の、剣呑な視線に気付いたのか、腕の中でじたばたと暴れながら、
「あ、あのね!いや、あの…危険は、無かった…と、思うし、ナルに言って…その、データ取られるのも、気の毒…かな、って」
「麻衣」
吐息とともに、その唇を塞ぐ。
何度抱いても、口づけをかわしても。
こうして。
この腕に閉じ込めた時ですら。
いつか。
喪失われるのではないかと。
まるで。幼い迷子のようだった。
プライドが高く、言葉に表す事ができない、『彼』が、時々見せる???不安。
それに気付かない、ふりをする。
ただ。
私は、いつでもあなたの傍に。
いつまでも、あなたの傍に。
それが永遠ではないと知っていても。
息が出来ないほど抱きしめられて、苦しい。
だけど、それで、彼の痛みを和らげる事が出来るなら。
そう、でしょう?ジーン。
此処には居ない、彼に向かって訊いてみる。
ただ静かな水面が、夕陽に照らされて朱く染まっていた…。
消える事は無い、痛み。
癒される筈の無い、喪失。
ただ。
この想いだけは、永遠に。
彼と、あなたと、自らへの。
この日の、誓いだけは。
奪われる事は、決して、ないから。
<終>
二〇〇四年八月十四日
Written by Rook
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